天才子役が「天才」でない理由
芦田愛菜さん。大人びた言動と知性が度々話題になるが、私はさほど不思議だとは思わない。彼女が元子役だからである。
というわけで今回は、幼稚な言動と痴性を度々とがめられる満30歳の私が、幼少期の演技経験と「知性的」な振る舞いのつながりついて考えたいと思う。
私は、小学校1年生の頃に演劇を始めた。学芸会の規模から始まり、高学年では先生からのすすめで東京に行くくらいにはなれたのだが、才能とは残酷かな、鳴かず飛ばずのまま数年できれいさっぱり辞めてしまった。というか続けられなかった。最後の芝居は6年生の学芸会だったろうか。ちゃんちゃん。
さて、私にとって演技は「現実からの逃避」だった。
変えられない自分のアイデンティティについて苦悩しない人はいない。橋本環奈ちゃんのようなキラキラした二重の目に生まれたいけれど、そうなれない。どんなにトレーニングしてもオリンピック選手にはなれない。そう思うだろう。
芝居が上手い人は、なれてしまうのだ。
(つづく)